「魂、いただきました」


人間の記憶は不思議だ。2年以上も前のことが不意に強烈に蘇えった。忘れないうちに書き留めておくことにしよう。

「さっそくのファイル送付ありがとうございました。魂、いただきました」

そのメールはそんな風に始まっていた。わたしの論文「未来は値するか」を送ったメールへの返信だ。

論文に対する具体的な感想はなかった。個人的な思いと、そして南北問題を鋭く意識している詩が綴られていた。

「もしかしたら未来は値するのかもしれない。と思わずにはいられない」

メールの最後のほうにそう書かれていた。

「未来は値するか」は、法学セミナー誌の書評で、『法の臨界』3巻中白眉と評された。ありがたい話だ。でも、このメールはそれよりはるかに嬉しかった。

論文は、ハートとアートで書くものだと思う。



※もちろん、アートのほうがずっと大事だ。技術を持たなければプロ失格である。