舌と唇の快感


 電動歯ブラシを買ったのは、多分に好奇心からだった。

 −−歯を磨くときくらい、手を動かせよ。そこまで手を抜くなよ。

 実はそういう気持ちのほうが強く、長く手を出さないでいた。それが、好奇心に負けてつい電池式の電動歯ブラシを買ってしまった。

 まぁ、こんなものか。確かに楽だしキレイになる。まずまず気に入って使っていたが、こんどは電池の消耗が気になり出した。いちおう覚悟の上だったし、単三型充電池を使えばいいかと思っていた。

 だが、電池式には根本的な弱点があることが分かった。"最高のパフォーマンス"を発揮できる時間が短すぎるのだ。確かに、がまんすれば1週間ほどは使える。でも、じゅうぶんに性能を発揮できるのは最初の2,3日だけだ。

 そこで、充電式の電動歯ブラシを買った。ツイン・リニアモーター搭載音波振動方式のやつだ。

 歯がツルツルになる。そういう感じがはじめて分かった。唇の、舌の感触が違う。磨き上げた、しっとりと温もりのある瑪瑙の感触。

 しかも、その感触はまる一日以上持続するのだ。出張などで電動歯ブラシが使えなくても、まる一日はその名残がある。

 たぶん、歯垢が歯垢を呼んでいたのだろう。いったんキレイに磨かれると、ふたたび歯垢がつくまでには、しばらくの余裕ができるのだ。

 久々の感動だった。