執筆乱調



書くときは、書くべき時に書く。無理に書いてもろくなものにならない。

わたしはそう考えている。そして、経験上これは正しい。"Thinking like Singing"の連載では、締切りを守るために無理に書いたときがけっこうある。そういうときは、やっぱりできが悪い。

これは、ただ時間をかける必要があるというだけではない。タイミングが重要なのだ。書くための「気」を高めることに成功したときに書く時間があれば、いいものが書ける。

残念ながら、わたしの現状ではこれは贅沢すぎる要求のようだ。「いま書けばいいものが書ける」と思ったときに、書く時間があるときはほとんどない。

質が低くても、早く出すか、遅くなっても質の高いものを出すか。

これは、二者択一の問題というよりも、程度を妥協する問題だ。ある程度質の高いものをできるだけ早く出す。時間を無視して質を追求することは不可能ではない。だが、そのためには控えめにいっても10年かかる。

わたしが本当に書きたいのは、いま書いているものではない、という事情も問題を複雑にしている。本当に書きたいものを書くために、いま書いているものの質を下げることは仕方がないんじゃないか? わたしが書く以上、質の低いものにはならない。とはいえ、ほどほどでやめておくのはかなりの苦痛だ。

どう妥協するのが最善か? 出来合いの答えはない。

だが、約束しよう。最低の妥協をしても、最高のものを書く。






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