パレート改善はゼロサム状況でも可能でしょうか。


 可能と言っていいでしょう。
 確かに「ゼロサム・ゲーム」ではパレート改善は不可能です。マージャンのように、勝者の得点が敗者の失点になるゲームでは、全員の状況がよくなる(全員の得点が高くなる)ということは考えられません。
 大事なのは、現実の世界はゲームではない、ということです。いま、マージャンのようなゲームでは、全員の状況がよくなることがないと書きました。しかし、現実に4人が集まってマージャンをしている状況を具体的に想像してみれば、全員の状況を改善することは可能なことが分かると思います。たとえば、閉め切った部屋で遊んでいて、みんなが暑いと思ったときに窓を開ける、というような場合が考えられますね。
 不景気でGDPが成長せず、シェアの食い合いになるような状況を指してゼロサム状況といわれることがあります。しかし、これはゼロサムゲームとは違います。「GDPの成長が不可能な状態」というのは現実には存在しません。
 そして、パレート改善は、資源の配分についての概念です。生産高が一定であっても可能、というか、そもそも生産の上昇を前提にしていないのです。
 簡単な例を挙げましょう。ある人が本を読み終わって、面白くなかったから売ってしまおうと思ったとします。古本屋に行って交渉が成立し、なにがしかの値段で売れたら、それはパレート改善なのです。売った人にとっては、もう役に立たない物がお金になったという点で状況の改善です。古本屋にとっては、利益を生む商品が手に入ったという意味で状況の改善です。このように、社会の富の総計が増加しなくても、パレート改善は可能なのです。
 なお、パレートについては、次回エッセイでさらに説明の上、用語集に追加する予定です。

 パレート改善については、Act 27 パレートと大岡越前を参照



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